子供の足は本当に速くなる?遺伝だけで決まらない理由と伸ばし方
「うちの子は足が遅いけれど、親も運動が得意ではないから仕方ないのかな」
お子さまの走る姿を見て、このように感じたことはありませんか。
運動会のかけっこでなかなか順位が上がらない。サッカーで相手に追いつけない。ボールに反応する一歩目が遅い。そうした場面を見ると、「足の速さは生まれつきなのでは」と考えてしまう保護者の方も少なくありません。
たしかに、身長や体格、筋肉の特徴など、生まれ持った要素が走る速さに影響することはあります。しかし、子供の足の速さは遺伝だけで決まるものではありません。
実際には、走る姿勢、腕の振り方、足の接地、地面への力の伝え方、スタートの一歩目、身体のバランスなど、後から学び直せる要素がたくさんあります。つまり「足が遅い」と見えている原因が、才能ではなく「速く走るための身体の使い方を知らないこと」にあるケースも多いのです。
この記事では、子供の足は本当に速くなるのか、遺伝とトレーニングの関係、そしてサッカーにも活きる走る力の伸ばし方について解説します。
足の速さは「才能だけ」で決まるわけではない
走る速さには、さまざまな要素が関わります。
たとえば、脚の長さ、筋力、柔軟性、反応の速さ、リズム感、バランス能力などです。そのため、生まれ持った身体的特徴がまったく関係しないとは言えません。
ただし、子供の場合はまだ身体の使い方が固まりきっていません。大人よりも動きの習得がしやすく、正しい刺激を受けることでフォームや動き方が変わりやすい時期です。
足が遅いように見える子には、次のような特徴が見られることがあります。
- 走るときに上体が後ろへ倒れている
- 腕を前後ではなく横に振っている
- 足が身体の前に出すぎてブレーキになっている
- スタートの一歩目で身体が起き上がりすぎる
- 走ると身体が左右にぶれる
- 止まる、曲がる動きでバランスを崩す
これらは、単なる「運動神経の悪さ」ではなく、身体の使い方の問題として改善を目指せる部分です。
走りの学校では、走りには長い距離を移動する「ランニング」と、短い距離を速く走る「スプリント」があり、両者は走り方が異なると説明しています。つまり、速く走るには、ただ一生懸命走るだけではなく、速く走るための技術を学ぶ必要があるということです。
「足が速い子」は、なんとなく速く走っているように見えても、実際には姿勢、リズム、接地、力の伝え方がうまく噛み合っています。反対に、足が遅い子は、力がないのではなく、持っている力を前に進むスピードへ変えられていないことがあります。
子供の足を速くするには「動きの土台」が大切
子供の足を速くしたいと考えたとき、まず思い浮かぶのはダッシュ練習かもしれません。
もちろん、走る練習そのものも大切です。しかし、ただダッシュを繰り返すだけでは、フォームの崩れや悪い癖をそのまま反復してしまうことがあります。
成長期の子供にとって大切なのは、きつい走り込みよりも、身体を思い通りに動かす力を育てることです。
キャスクスピードトレーニングでは、コーディネーション、アジリティ、スピード、クイックネスの4つを主軸として、子供の「動く」「走る」部分を高めるトレーニングを行っています。
この中でも、土台になるのがコーディネーションです。キャスク公式HPでは、コーディネーションを「自分の身体を安定させ、その上で自由自在に動かせる能力」と説明しています。バランス、リズム、反応、定位などが関わり、目や耳で得た情報を判断し、筋肉を動かす一連の流れをスムーズにする力です。
足を速くするには、脚だけを動かせばよいわけではありません。腕、体幹、股関節、足の接地が連動してはじめて、地面に加えた力を前へ進むスピードに変えることができます。
医学的・公的な根拠から見ても、子供の運動経験は重要
子供の身体能力は、日々の運動経験によっても育ちます。
WHOは、子供や青少年の身体活動について、骨の健康、筋肉の発達、運動能力や認知発達に良い影響があるとしています。またCDCは、6〜17歳の子供に1日60分以上の中高強度の身体活動を推奨しており、その中には走る、跳ぶ、筋肉や骨に刺激を入れる活動も含まれます。
これは「子供に大人のような筋力トレーニングをさせるべき」という意味ではありません。CDCも、低年齢の子供は遊具で遊ぶ、登る、走る、跳ぶといった年齢に合った活動の中で、自然に筋肉や骨へ刺激を入れられると説明しています。
つまり、子供の時期は、さまざまな動きを経験しながら身体の使い方を覚えることが大切です。足を速くするためにも、単に脚力だけを見るのではなく、バランス、リズム、反応、姿勢、方向転換といった要素を総合的に伸ばす必要があります。
サッカーで必要なのは「直線の速さ」だけではない
サッカーをしている、またはこれから始めたい子供の場合、足の速さを考えるときにもう一つ大切な視点があります。
それは、サッカーで必要な速さは、50メートル走のような直線の速さだけではないということです。
試合中の子供たちは、前に走るだけではありません。急に止まる、横へ動く、後ろへ下がる、相手の動きに反応する、ボールの位置を見て方向を変えるなど、複雑な動きを繰り返します。
キャスク公式HPでは、アジリティを「素早い方向転換や切り返し」、クイックネスを「止まっている状態からの速い反応とその動き」と説明しています。
サッカーで相手より一歩早く動くには、トップスピードだけでなく、一歩目の速さ、止まる力、曲がる力、バランスを保つ力も必要です。
たとえば、直線では速く走れる子でも、切り返しで身体が流れてしまうと、守備で相手についていけません。反対に、トップスピードはまだ高くなくても、反応が早く、方向転換が上手な子は、試合の中でボールに早く関われることがあります。
足が速くなるために保護者ができること
保護者が家庭でできることは、まず子供に「動く経験」を増やしてあげることです。
鬼ごっこ、ジャンプ、片足立ち、坂道ダッシュ、ボール遊び、ステップ遊びなど、遊びの中にも走る力の土台はたくさん含まれています。
ただし、注意したいのは、できないことを責めたり、長時間の反復練習をさせたりしないことです。疲れた状態でフォームが崩れたまま走り続けると、悪い動きが身についてしまうこともあります。
大切なのは、短い時間でもよいので、良い姿勢で、楽しく、いろいろな動きを経験することです。
そして、走り方や方向転換の癖が強い場合は、専門的な指導を受けることも選択肢になります。自己流では見えにくい姿勢、接地、重心移動、腕振りなどを客観的に見てもらうことで、改善の方向性が分かりやすくなります。
まとめ
子供の足の速さは、遺伝だけで決まるものではありません。
姿勢、腕振り、接地、スタート、身体の連動、方向転換など、後から学べる要素がたくさんあります。
特にサッカーでは、直線を速く走る力だけでなく、止まる、曲がる、反応する、一歩目を素早く出す力が重要です。
「うちの子は足が遅い」と決めつけるのではなく、まずは身体の使い方を見直してみましょう。正しいアプローチを積み重ねることで、子供の走り方や動き方は変わっていきます。
サッカーに活きる身体能力を総合的に知りたい方は、ピラーページ「子供の足を速くするには?サッカーを始める前に伸ばしたい身体能力とトレーニング方法」もあわせてご覧ください。
体験レッスンをご希望の方へ
キャスクスピードトレーニングでは、小中学生を対象に「走る」「動く」力を専門的に伸ばすトレーニングを行っています。お子さまの走り方や身体の使い方に不安がある方は、まずはお近くのスクールや体験レッスンをご確認ください。
参考元
- キャスクスピードトレーニング公式HP:https://casq.jp/
- キャスクについて:https://casq.jp/about/
- 走りの学校 公式HP:https://www.hashiri.school/
- CDC「Child Activity: An Overview」:https://www.cdc.gov/physical-activity-basics/guidelines/children.html
- WHO「Physical activity」:https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/physical-activity